BLACKSMOKERが絶大な信頼を置く音楽家のひとり、OLIVE OILの新作は、K-BOMB、OMSB、5lack、KOJOEなどのラップ音源と自身のビートの合わせ技。ジャケットのアートワークは弟•POPY OILとKILLER-BONGのコラボ。全21曲。7/15発売。 何百と言われているオリーヴ・オイルのビート・ポッドから、ラッパーが好きなビートを選んでマイクスタンドの前に立つ。様々なビートを聞いてインスピレーションを沸かせることが出来るというのは、ラッパーにとってこれほど幸せなことはない。そして、声が録音されたデータがオリーヴ・オイルの手元に戻ってくることは、彼が取材で良く言われている「楽しい」作業の始まりの合図である。kojoe、ritto、5lack等の最近の彼が手掛けた作品を聞けば一聴瞭然であるが、オリーヴ・オイルは届けられたラッパーのリリックを徹底的に分析していく。いくつものレイヤーを重ねエディットを繰り返し、ラッパーの感情を100%引き出し、ミックスダウンされた時にはラッパーの魅力を芸術的なパフォーマンスで演出するのである。オリーヴ・オイルの芸術性だけに言えることでは無く、全てのクリエイターにも言えることであるが、特に芸術性の高い作品に出会った時というのは、その作品の内側から溢れるパワーが汲み取れた時である。現代のクリエイターにとっては誰かに認められようだとか、沢山のオーディエンスに称賛を受けることが一番の目的ではなく、自分の限界の先にある己に勝つことが一番の達成感であり芸術性の高さに繋がっていくものだと僕は思う。そして言わずともオリーヴ・オイルのセルフビートアルバムとなれば、ラップ・プロジェクトの時のように裏方でいる必要は無く、自身の感情を剥き出しにするまでである。本作品では様々なラッパーが参加しているし、セルフビートも収録されている。ヘッドフォーンから流れる、南国のスパイスが振り掛けられた音楽は、今回もまた私たちの生活に染み付いて何気なく彩ってくれるはずだ。(wenod records 神長健二郎)