『ジャズをスピンしているのではない、ジャズをプレイしているのだ。』KILLER-BONGによるDJ MIX。
KILLER-BONGは実はとてもポップなアーティストだ。ヘッドフォンをつけず、ダビーで破壊的なエフェクトを駆使しながら、予測のつかないフリーキーなミックスを繰り広げる、あのDJを体験したことがあるリスナーならば知っているはずだ。それは、あまりにも自由で、抽象的で、眩暈のするような体験だけれど、同時にそのプレイはセクシーで、夜に集うダンサーたちを濡らし、楽しませ、ぶっ飛ばせる。そこには、歓待の精神がある。グッチ・メインからスタートした、ある夜はハードコアだった。また、混沌としたエフェクトの渦の中で、ジャザノヴァやディアンジェロをスピンした、あの日の夜はソウルフルだった。自身のオリジナル・トラックだけでやり切った別の夜はずば抜けてクレイジーだった。そして、このMIXCDはジャズだ。自分の曲を一切使っていない。もちろん、ヘッドフォンを使わないで録音したのだろう。ドラムンベース、モダン・ジャズ、ボッサ・ジャズ、スピリチュアル・ジャズ、フュージョン、フューチャー・ジャズ、ポスト・ダブステップ、ありとあらゆるジャズが飛び散っている。KILLER-BONGはここでジャズをスピンしているのではない、ジャズをプレイしているのだ。いつも通り、セクシーに、ハードコアに、ソウルフルに、そして最高にクレイジーに! (二木信)