NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのMACKA-CHINが捉えた東京のクラブ・シーンの深部にある“変わりゆく同じもの” MACKA-CHINはNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの一員としてシーンに登場、01年にソロ・デビュー作を発表している。ラッパーとしてだけではなく、トラックメイカー/プロデューサー/DJとしても活動するMACKA-CHINの、グループのハードコアなイメージとはまた異なるユニークな個性には特筆すべきものがある。ハウス、レゲエ/ダブ、ジャズ、ブレイクブーツ、アンビエント、ミュージック・コンクレートを飲み込んだ、とくにソロの初期2作『CHIN-ATTACK』(01年)と『CHIN NEAR HERE』(02年)は、いまだ色褪せない日本のヒップホップの“隠れた名盤”と言えるだろう。90年代後半から00年代前半のクラブ・ミュージックの自由な息吹を感じさせるMACKA-CHINの実験精神と無邪気な遊びの感覚は、日本のヒップホップがますます多様化/雑食化する2012年のいま改めて評価されるべきではないだろうか。前述した2枚のアルバムを久々に聴き直して、強くそう思った。このタイミングで、現在のクラブ・ミュージック・シーンの一角を担う〈blacksmoker〉が古くからの盟友であるMACKA-CHINのミックスCDをリリースするというのは、単なる偶然ではないだろう。スウィートなルーツ・レゲエから始まり、パーカシッヴなアフロ・ファンクやダビーなブレイクビーツ、ブギー・ディスコやアシッド・ジャズからチルアウトまでが流麗にミックスされていく『揺~D.N.A.~』の古くて、新しい感覚は、東京のクラブ・シーンの 深部にある“変わりゆく同じもの”を確実に捉えている。(二木 信)
■MACKA-CHIN NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのメンバー。MABOやMONTIENとしてもコンビを組み多くの作品を発表。ソロ活動では自身のアルバムのほかDVD作品やHP音楽、CM音楽など多岐にわたって制作。また"CHACKA SPLASH"等のイベントオーガナイズやフリーペーパー"FREMAGA"の連載など音楽以外の活動も率先してこなす。最近ではジャンルレスなオリジナルな選曲が話題を呼び、DJの営業も多く全国各地活発にこなしている。色んな意味で目が離せないMCであり、プロデューサーであり、DJであり、ビジュアルクリエイターである。