ブラック・ミュージックを横断する極上のクロスオーバーサウンドが、新世代シンガーを迎えアップデート。
1. Back To Nature Featuring – Kuauhtli Vasquez, Wixarika Tribe 7:35
2. Tell My Vision Featuring – Andrew Ashong 4:14
3. Shape The Future 6:19
4. On It Maestro 4:15
5. Tomorrow Featuring – LSK 4:30
6. Typical Featuring – Jordan Rakei 4:40
7. Tenor Fly 2:41
8. Citizen Kane Featuring – Mozez 4:00
9. Deep Shadows Featuring – Sadie Walker 3:57
10. Gotta Smile 6:44
11. The Other Ship 4:07
Bonus Tracks for Japan
12. World Inside Featuring, Vocals – Andrew Ashong 9:06
13. Citizen Kane (Rap Version) Featuring – Allan Kingdom, Mozez 4:09
↑発売元インフォ↓
UNKLE、コールドカット、トリッキー、ゴールディ、ディーゴ&カイディ、イレシスタブル・フォース(ミックスマスター・モリス)など、UKクラブ・シーンの大物やベテランの久々の新作、復帰作が相次いだ2017年。そして2018年、ナイトメアズ・オン・ワックス(NOW)が帰ってきた。
UKのリーズ出身の NOWことジョージ・エヴリンは、名門〈ワープ〉を草創期から支えてきた。1989年のデビューから1990年代初頭はブリープ・ハウスに傾倒するが、その後1990年代半ば以降はトリップ・ホップのムーヴメントを牽引。ソウル、ジャズ、ヒップホップ、レゲエ、ダブの影響を受けたダウンテンポを軸に、グッド・ヴァイブス溢れたブレイクビーツからユルくダビーなチルアウト系を得意とし、2006年にイビザ島へ移住してからはバレアリックなテイストにも磨きをかけてきた。そんなNOWはとにかくマイペースで、2013年の『Feelin' Good』後はアルバム・リリースから遠ざかっていたが、2018年、5年ぶりの通算8作目となる『Shape The Future』を遂に完成させた。
『Shape The Future』には今までのNOWサウンド同様、ダブやレゲエのフレーヴァーがあり、ヒップホップからハウス、ディスコなどを縦断するブレイクビーツがあるが、とりわけソウルの香りが強いものとなっている。NOWがソウルに傾倒したアルバムとして1999年の傑作『Carboot Soul』があったが、『Shape The Future』はそれを2018年に置き換え、現代風の変化やアレンジを加え、ヴァージョン・アップさせたものと言える。ジョージいわく「肉体的にも精神的にも新しい旅をした」アルバムなのである。そうした新しい試みは参加メンバーにも表われている。モーゼズ、LDK、クリス・ドーキンス、JD73、シャベルなど今までもお馴染みの面々に加え、ジョーダン・ラカイ、アンドリュー・アショングなど新世代のシンガー・ソングライターが参加。ボーナス・トラックとなった「Citizen Kane」のシングル・ヴァージョンには、カニエ・ウェストやフルームのコラボレーターとしても知られる新鋭ラッパーのアラン・キングダムをフィーチャーする。
ソウルとダブが結びついた典型的なNOWスタイルの「Tomorrow」がある一方、ラカイが歌うブルージーな「Typical」にはディアンジェロ風のムードがある。「Deep Shadow」は1960年代の古いデトロイト・ソウルのカヴァーで、「Citizen Kane」や表題曲にはゴスペル調のコーラスをフィーチャー。ダブ・ポエット調の「Back To Nature」では、NOWのトレード・マークとも言えるクインシー・ジョーンズ風のソウル・ジャズのキーボードをうまくブレンドしている。ジャザノヴァでも演奏するセバスチャン・シュトゥッドニツキー、パット・メセニーやブレッカー・ブラザーズとも共演するウォルフガング・ハフナーらジャズ系ミュージシャンをバックに、ジョーダン・ラカイやハイエイタス・カイヨーテなどに象徴される現在のジャジーなネオ・ソウル、フューチャー・ソウルに通じる面を見せ、新たなNOWサウンドを提示しているのがこの『Shape The Future』である。